ハゲ持ち父さん、貧乏父さん

髪と引き替えに金持ちになったハゲ持ち父さんのお金に関する教え。株式投資、都心マンション、書評など。

不動産投資は儲かるのか~はじめてのタワマン、賃貸派から持ち家マンション派へ

不動産投資は儲かるのか~はじめてのタワマン、賃貸派から持ち家マンション派へ


株で億くらいいったらとりあえず自宅マンションでも買っておけ、と言っているが自身は賃貸期間が長かった。
その頃のエピソードを含めて、不動産投資に関する考えを書いてみた。

10年以上前、はじめていいマンションに住んだのはリーマンショックのリバウンド相場で資産数千万程度に爆増中の頃だった。
特にお金のかかる趣味もないから、儲けたご褒美に快適なトレーディングルーム兼自宅が欲しい。
好きなタワマンをとりあえず借りて引っ越そうと都内の物件を探した。

この時期は後で振り返ると人生で一番きつかったが楽しかった時期だと思う。
髪はふさふさだったが、激しいデイトレ中心の短期売買のストレスで胃から出血したりして体調を崩すことも多かった。

当時の自宅は家賃5万のワンルームマンション。
立地を妥協していたのでせまくはなかったが、駅からも遠くかなり不便だった。

地方出身で数年東京に住んではいたが、東京のことは全くわからず、お金や住む場所に制約がなくなったとしてもどこに住むのがいいか検討もつかなかった。
そこでとりあえず賃貸で2年都心に近い場所に住んで、どこがどういう理由で住むのにいいかを調査しようと考えた。
それなら重要なのは主要な駅へのアクセスと最寄り駅からの距離、あとはタワマンに住んでみたいからタワーで探してみようかなとなった。

いくつかのターミナル駅を中心に、そこから駅近のタワマンを探す。
最後に候補に残ったのは3物件ほどあったと思うが、株で増やすのに忙しく、内覧に行くのもけっこう負担だった。
それで結局一番可能性が高そうな物件の二部屋を内覧し、階が上の方に即決した。

今思うと住まなかった候補の一つの青山パークタワーにしといたほうがよかった気がする。
渋谷駅徒歩5分ほどで渋谷駅の表参道側の好立地。
こっち側はセンター街側と比べてそこまでうるさくなく、原宿、表参道へも歩けるので、築15年以上経った今も高値で取引されている。
最新のタワーと比べると、高級物件としてはボロいと感じるが、立地はかなりいい。

確か「青山パークタワー」なのに住所が渋谷1丁目なのはインチキだ、みたいなしょうもない理由でやめた気がする。
今の時代ならこの立地は三井不動産の上位ブランドのパークコートになっていただろう。

それはともかく別のタワマンへと引っ越すことになった、
賃料は40万ほどで、普通賃貸借2年。
当時すでに株以外の収入は微々たるアフィリエイトくらいだったので、前年度の譲渡所得のみで保証会社とオーナーの審査はどうかなというところ。
2年分一括払いでいいです、と告げておいたところ、1年分で地方の地主オーナーがOKしてくれたようだ。
今この契約を見直すと、よく審査通ったなと思う。

前々年度の確定申告書も出したと思うが、年額家賃より少ない数百万程度の収入だから地主様のご厚意なのか。
あるいは1年分回収して保証会社通してしまえばお家賃とりっぱぐれはないから、やや高めの募集賃料満額(1割引程度が相場か)なら通せという考えか。
ともかくすんなり駅徒歩30秒くらいのタワマンに住むこととなった。

はじめての都心タワマンライフのはじまりである。

引っ越しのために住んでるワンルームの解約手続きすると、なぜか不動産屋に「おめでとうございます」と言われる。
もちろん敷金は1円も戻ってこなかったが、面倒なのでスルーしておいた。

引っ越して数ヶ月後に資産が億に達した。

この当時は賃貸主義で、マンションを買った方がいいのかという疑問はあったが深く考えなかった。

2年契約の更新が近づき、
株で資産を増やしたら不動産にしたほうがいい?
不動産投資は儲かる?

という疑問を少し深く考えることがあった。
まず株との比較のために、大型で低リスクの高配当銘柄を分析しNTTドコモが最適との結論になった。
実質国営のような独占的通信事業で資産も豊富で当時PBR1倍割れ。
配当性向もアベノミクス前の当時は低く、継続的な黒字で毎年資産が積み上がり、流動性が高く億突っ込むのも簡単、大幅な減配や赤字になるようなリスクも低いと考えた。
株式譲渡益は10%の時代で、配当利回りは5%を超えていた。
もし2019年の今なら株価上昇で利回りが下がったので、ドコモとKDDI半分ずつ買うという前提にするかもしれない。

ドコモの利回りを基準に不動産投資と比較し、5%(税引き後でも手取り4%台後半)以上儲かるかをシミュレーションした。

不動産投資にかかる経費や税金、空室などのリスク分を概算で引いて考えたが、自己資金でやる前提だとどうあがいても株より儲かる数字は出なかった

運用利回りが投資をはじめて2年目以降ずっと二桁%以上だったので、不動産の購入資金を株での運用に回したほうが効率よかった
その後、資産の増加とともに運用効率が下がり予備資金が増えたため、賃貸を渡り歩いた後、住居費削減に回した方がバランスがいいと判断して自宅マンションを購入することになった。


不動産投資に関しては、
・どうあがいても経費や税金が重く、事故のリスクもあり流動性も低い、相対取引の交渉・事務手続きがめんどくさい、手数料も高いので永久保有に近い長期前提のみか
・あるいは法人化して人を雇って、物件選別以外ほぼ丸投げしておける規模にする
・資産規模が5-10億を超えるくらいになれば、利回りが低くてもPFの一部として持ったり、いつでも返せる借金レベルなら可能か
・低金利なら土地の分だけ借り入れてもリスクは低い?
・基本的にインサイダーがおいしいものをもっていった残りしか市場に出ないので、情報の調達ルートがないと儲けにくい

また不動産投資には事業としての不動産投資と、不労所得としての不動産投資があるんだなと思った。

前者はボロ物件を安く買い、自分の時間や労力を使って物件の改造したりして空室を埋めて、買値より高く売却するようなやり方。
ほぼ本業レベルの仕事である。

私が考えていたのは後者で、自分の時間や労力を使うのは物件の調査と買うとこ売るとこだけ。
利回りや値段を見て割安なものを買って、管理コストや税金含めて計算して値上がり益と家賃収入を稼ぐというイメージだった。

株と比較するということなら後者だろう。
どうしても不動産に分散投資したいならリートもあるが、銘柄選択から増資や分配金の変動など面倒がある。

高配当株もせめて配当が3か月ごとなら保有していてもいいが、年一回3月末一括配当などという銘柄を364日保有するリスクをとる意味がないと思っている。
リスク資産を保有するのは基本的に嫌いなのだ。

当時NTTドコモを数千万円分買って保有してみたことがあるのだが、次の配当まで数ヶ月も待てずに1か月で全部利食いしてしまった。

一日、場合によっては秒単位で10%以上みたいな売買が当たり前のことをやってると、資産規模が数十億以上でもない限り、5%もらうのに一年などというのは考えられなくなるのだ。
高配当株逆張り投資もするが、よほど割安でなければ5%~10%短期で上がれば即売ることが多い。

こういった性格も不動産投資をやらなかった理由だろう。

逆に言えば、すぐに売れないことこそがメリットなのではないかという面にも気がついた

投資やってる人ってお金の管理ができないギャンブラー体質な人が意外に多いのだ。
自分の周りはギャンブルなんて一切しない堅実派が多く、全く気がつかなかった。

秒単位のスキャルピングが一番安全、次がデイトレ、スイングの順だ(難易度は逆に時間が短いほど上がる)。
なるべく短期で元本を倍にして、半分抜くのが一番安全な投資法だと思っている。

しかし資産が増えてくると、抜いた元本すべてを現金で保有というには多すぎるから、どこかに置いておかなくてはいけない。
そんなときの守りの投資先が不動産なのだ。
だから金持ちの定期預金みたいなものとして使えるんだなと考えが変わった。

利回りなど低くても、大きく減らないことが確実なら十分なのだと。

これらを踏まえた上での結論はこうだ。


自己居住用だけは買える人は買ってもいい


それ以外は下記に当てはまる場合のみあり
不動産投資が優位になりそうな3パターン
・節税とセット
・無理ない範囲での借入でレバレッジ投資
・地主の論理で定期預金代わりの資産保全


1,自宅だけは買ってもいい
収入には税金がかかるから、一定の収入(年収数千万?)・資産(数億?)までは
収入増<支出削減
が優先である

税金3割なら10万の収入は税引き後手取り7万だから、
額面収入10万増やす=7万支出削減
なのである。

経費で節税なども額に限界があるし、額面数千万以上の所得がある人くらいだろう。

・支出の多くを占める住居費を自宅購入で削減は合理的
・キャッシュでマンションを買えば空室なしで運用したのと同じ、家賃収入に税金もかからず、空室発生ごとのロスもない
・ローンの場合は金利上昇リスクなどが加わるので、繰り上げ返済余力があればより安全、資産なしでギリギリは薦めない
・管理費、修繕費、固定資産税、ローンの場合の諸経費、売買コスト、価格下落分を差し引いて、物件選択や購入時期がうまくいって5年、基本10年以上で賃貸と逆転が目安
・価格下落はまともな立地のマンションや土地なら大きくてせいぜい2割程度、株は優良株でも半値は普通
・株はもたない選択が可能だが、自宅は保有するか借りるかしないといけないので、住居費0にはならない
・私はマンション派だが、土地値で売られてるような戸建てもなくはないのかも、おすすめはしないが金はかからない


2,自宅以外は節税とセットでなら
相続税所得税法人税節税とセットで守りの資産として

・価値が長期的にあるのは土地だけと考える、好立地は必須
ワンルームマンションはほぼ損するから論外
・ドコモ、KDDIと利回り比較すると、2019年2月現在利回り4%前後税引き後3.2%、不動産投資でこれを低リスクで安定的に上回るのは難しい
・しかし、高所得者が節税と資産保全を兼ねてやるなら、大きな値下がりがなく、一定の賃料を稼いでくれればいい
・節税効果を含めての利回りなら、高配当株を上回るのもそれほど難しくないケースもあるだろう
・他の投資との比較ではなく資産保全としてなら黒字なら問題ないとも言える


3,給与などの高所得とお金を借りられる信用力がある場合のレバレッジ投資
詳細は不動産投資のプロでないので触れないが。思うことをいくつか。

・元手なしで借金できる信用力があるなら、リスクと引き替えになるが自己資金に対する利回りは株を上回ることもある
・例えば資産10億の金持ちが1億の物件をローンで買って事故で暴落しても、他の資産を含めてリバランスして調整するだけだが、資産のないサラリーマンが同じことになると最悪破産
・資産のない人は自宅以外は株のほうが効率がいい

自己資金を入れないフルローンだから利回りが高い!みたいなのは、1万円を100万円に増やしたのを資産100倍にしたとアピールしているのに似ていると思う。
無理ない範囲ならいいが、ハイリスクローリターンを正当化するレトリックだと思う。
そして多くは地主の養分となる。


4,地主の論理で資産保全
大事故が起きない限りは土地の価値が高く、キャッシュフローが余裕をもった黒字であれば定期預金感覚だろう。

地主が相続税対策に賃貸用アパートを持ち、古くなっても修繕費などは最低限しかかけず、空室が出ても黒字なら気にしない。
埋まらなければ家賃を下げ、最後は朽ち果てるまで放置する。
それでも節税効果を考えると問題ない、という話を聞いたことがある。

利回りが高いかどうかなんて黒字なら気にしないから、埋まらなければ相場なんて関係なく値下げできてしまう。
レバレッジかけてる投資家からしたら赤字になる値段にはできないから、勝負にならない。

耐えきれなくなって投げ売りしたアパートを地主が安値だ買い叩き、地主の領土が増える。
これが不動産市場の流れだろう。

キャッシュ買い、値下げで潰し、安値買い。
これを私は「地主の論理」と読んでいる。

資産保全のための定期預金みたいなものであり、そもそも利回りを比較することがナンセンスなのではないか。


まとめると、まとまった資金ができたり、高所得なら自宅は買っていい。
それ以外は向いている要素があったらという程度ではないかと思う。

2019年現在は高いと思うから無理に買う時期ではなさそうだけど、5年前もそう思ってた気がするから、
まとまったお金を保全する守りの資産としてなら優秀という結論だ。

多少値下がっても、物件選びを大きく間違えなければ10年住んで損はないだろう。

こうして私も資産が億になった数年後にマンションを買うことになったのであった。


つづく